目次
骨の基本構造:マクロな視点から
ヒトの体を支える骨は、外側と内側で異なる構造を持つ二重構造になっています。外側は硬く密な緻密骨(緻密質)、内側はスポンジのような網目状の海綿骨(海綿質)です。この二つの構造が、骨の強度としなやかさを生み出しています。
緻密骨:体を支える頑丈な外壁
骨の最も外側を覆っているのが緻密骨(緻密質)です。その名の通り、骨組織が非常に密に詰まっており、高い強度を持っています。
主な役割
- 体を支える支柱としての役割
- 筋肉が付着し、運動の起点となる
- 内側の海綿骨や骨髄を保護する
海綿骨:衝撃を吸収する軽量な内部構造
緻密骨の内側にあるのが海綿骨です。骨梁と呼ばれる細い骨の柱が網目状に広がり、スポンジのような構造をしています。
主な役割
- 外部からの衝撃を分散・吸収するクッションの役割
- 骨全体の重量を軽くする
この網目構造のおかげで、骨は強度を保ちながらも軽量化を実現しています。
生命を育む場所:骨髄
海綿骨の網目状の隙間は骨髄腔と呼ばれ、その内部は骨髄で満たされています。骨髄には、造血機能を持つ赤色骨髄と、脂肪組織に置き換わった黄色骨髄の2種類があります。
赤色骨髄:血液の工場
赤色骨髄は、私たちの血液細胞を作り出す、まさに「血液の工場」です。ここには、血液細胞の元となる造血幹細胞が存在します。
この造血幹細胞が分裂し、分化・成熟することで、以下の様々な血液細胞が生まれます。
- 赤血球:酸素を運搬する
- 血小板:出血を止める
- 白血球:免疫機能を担う
- 顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)
- 単球(組織内でマクロファージになる)
- リンパ球(T細胞、B細胞など)
新生児や小児期では、全身のほとんどの骨がこの赤色骨髄で満たされており、活発に血液が作られています。
黄色骨髄:加齢による変化
成長とともに、一部の赤色骨髄は造血機能を失い、脂肪細胞に置き換わっていきます。これが黄色骨髄です。
しかし、大量出血などにより体内で大量の血液が必要になった場合には、この黄色骨髄が再び赤色骨髄に変化し、造血を再開することがあります。体の非常事態に備えたバックアップ機能と言えます。
成人における赤色骨髄の主な存在場所
では、成人になった後、どこで血液は作られ続けるのでしょうか。 成人で主に造血機能を持つ赤色骨髄が残っているのは、体の中心部に近い扁平骨や短骨です。
具体的には、以下の骨が挙げられます。
- 頭蓋骨(の一部)
- 椎骨
- 胸骨
- 肋骨
- 肩甲骨
- 骨盤
一方で、上腕骨や大腿骨のような長い骨(長管骨)では、中心部分である骨幹の骨髄は黄色骨髄に置き換わっています。
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