どうも解剖生理学botのゴローです。
では、お待ちかね。
前回の続き。
代謝性アシドーシスとアルカローシスについて話そうと思う。
前回の記事
→呼吸性アシドーシスとアルカローシスについてはこちら。
代謝性は呼吸性よりも少し複雑だから、今履いているフンドシをいつもより少しきつく締めあげ気合を入れてから聞いてくれ。3秒だけ待つ。
・・・。
よし、始めよう!
さらっと前回の復習をすると、体内に水素イオンが沢山溜まると、pHは低下して体内は酸性に傾く(アシドーシス)と言ったよね。
これは基本だから頭の片隅に入れておいてくれ。
代謝性アシドーシス
今回はもう1つ前提知識としてこの図を頭に入れてくれ。
胃(胃酸)は酸性
腸(腸液、膵液、胆汁)はアルカリ性
この図を見ながら考えてほしんだけど、下痢をした場合は、腸からアルカリ性の液体が沢山排出される。
すると、体内のpHが酸性に傾くんだ。
これを代謝性アシドーシスという。
絵に書いてみるとイメージしやすいよね。
試験でパニックった時は是非絵を書いてみてくれ。
下痢以外にも代謝性アシドーシスになる原因はある。
それは、腎機能が低下した時(腎不全など)。
なぜ腎機能が低下すると代謝性アシドーシスになるのか?
腎臓には水素イオンを尿として排出する働きがあるんだ。
(※腎臓の尿細管上皮細胞で水素イオンの排出をしている)
つまり、
腎機能が低下すると、水素イオンが排出されず、体内に溜まったまま増えていく。
↓
水素イオンが多くなると体内のpHは酸性に傾くんだったよね。
↓
結果、代謝性アシドーシスとなる。
簡単だね。
専門的に考えるともっと複雑なんだろうけど、国試レベルならばこの理解でいけるハズさ。
あと補足なんだけど、
HCO3−(重炭酸イオン)はアルカリ性と思っている人が多いんだけど、
正確には、重炭酸イオンはアルカリ性ではない。
前回説明したこの式。
この式を右から左に見てくれ。
重炭酸イオンが水素イオンとくっつくと炭酸になり、炭酸が水と二酸化炭素にわかれる。
つまり、重炭酸イオンが多いと
↓
体内はバランスを保つために、重炭酸イオンと水素イオンがどんどんくっついていく
↓
結果、水素イオンが減るからpHが上がりアルカリ性に傾く。
こういう流れ。
例えば、お見合いパーティを想像してほしい。
水素イオンを男。
重炭酸イオンを女。
とする。
お見合いパーティで女(重炭酸イオン)が多ければ、どんどん男(水素イオン)とくっついてカップル(炭酸)が誕生する。(水素イオンが減るからアルカリ性に傾く)
しかし、
女(重炭酸イオン)の数が少なければ、男(水素イオン)があまっちまうんだ。(水素イオンが多いと酸性に傾く)
つまり
何か切ないけど、イメージはこんな感じ。
まー、結局カップル(炭酸)になってもすぐ水と二酸化炭素になって別れるんだけどね。なんつって。
あくまでpHは水素イオンの濃度に影響されるということ。
ちょっと難しくなったかな?
よくわからない人は、HCO3−(重炭酸イオン)が増えるとpHはアルカリ性に傾く(アルカローシス)と今は覚えておいてくれ。
あと代謝性アシドーシスでよく試験に出るのは、糖尿病。
これもざっくりと覚えておこう。
糖尿病で血糖値が上がる
↓
アセチルコリンCoAが増える
↓
ケトン体(酸性)が増える
↓
代謝性アシドーシス
(ケトン体によるアシドーシスをケトアシドーシスという)
ちなみに、糖尿病の症状にクスマウル呼吸ってのがあるけど、これは、深い呼吸をすることで(二酸化炭素を排出することで)、血液のpHをアルカローシス側に移動させようとしているためなんだ。
(二酸化炭素が増えてもpHが酸性に傾くんだったよね)
このように肺と腎臓が協力して、体内のpHを調節しているんだ。
代謝性アルカローシス
じゃー続いて代謝性アルカローシスについて話そうと思う。
最初の図を思い出してほしんだけど、胃内のPHは酸性と言ったよね。
じゃー嘔吐をするとどうなるかと言ったら、胃から酸(塩酸/HCl)が沢山排出されるんだ。
つまり、嘔吐をすると体内のpHは、アルカリ性に傾く。
これを代謝性アルカローシスと言うんだ。
何となくイメージできるよね?
さらに、
原発性アルドステロン症も代謝性アルカローシスになる。
これは少し複雑なんだけど、試験でよく出るからこれを機会に是非覚えておいてほしい。
なぜ原発性アルドステロン症になるとアルカローシスになるのか?
ざっくり見るよ。
原発性アルドステロン症で、アルドステロンの過剰分泌
↓
ナトリウムの貯留によるカリウムの排出促進(アルドステロンの働き)
↓
低カリウム血症になる
↓
尿細管でカリウムの排出が抑制され、かわりに水素イオンが排出されやすくなる
↓
体内の水素イオンが減少する
↓
アルカローシス
原発性アルドステロン症がアルカローシスになる原因を調べた限りではこの流れだった。間違ってたらごめん。
なにはともあれ、
原発性アルドステロン症になると代謝性アルカローシスになると覚えておけば間違いない。
じゃ~最後、
まとめるよ。
もういっちょ。大まとめ。
そして、覚えたての知識で国試の問題が解けるか試してみよう。
酸塩基平衡の異常と原因の組合せで正しいのはどれか。
1.代謝性アルカローシス―――下痢
2.代謝性アシドーシス――――嘔吐
3.代謝性アシドーシス――――慢性腎不全
4.呼吸性アシドーシス――――過換気症候群
上のマインドマップを参考に自分で考えてみてほしい。
答えは3。
いつの間にか解けるようになったね。
このように大事なポイントを絞って図解することで試験の点数がリアルに上がりますぜ。
てことで、今回はここまで。
すみやかにフンドシをゆるめてくれ!
お疲れ様。
もうこれで酸塩基平衡の問題はは怖くないね。
前回の記事、
呼吸性アシドーシス・アルカローシスの記事と合わせて読むと酸塩基平衡の理解度が深まると思います。
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