タンパク質はこうして作られる!設計図から完成まで

こんにちは。

ゴローです。

ヒトの体を作る上で欠かせない「タンパク質」。

しかし、そのタンパク質が体の中で一体どのように作られているか知っていますか?

今回は、生命の設計図であるDNAからタンパク質が完成するまでをサクッと解説します。

1. 設計図のコピー『転写』:核内でのプロセス

すべての始まりは、細胞の核の中にあるDNAです。

DNAは、ヒトの体を作るための全ての情報が書き込まれた、いわば「生命の設計図」の原本です。この原本は非常に貴重なため、決して核の外に持ち出すことはできません。

そこで、タンパク質を作る際には、この設計図の中から必要な部分だけをコピーします。このコピーがmRNA (メッセンジャーRNA) です。「伝令RNA」とも呼ばれます。

このDNAからmRNAへと遺伝情報を写し取るプロセスを『転写』と呼びます。

コピーであるmRNAは、核膜にある核膜孔という小さな穴を通り抜けて、細胞質にあるタンパク質合成工場であるリボソームへと運ばれていきます。

2. 設計図の組み立て『翻訳』:リボソームでのプロセス

リボソームに到着したmRNAは、いよいよその設計図の内容を読み解く『翻訳』のステップに進みます。

ここで活躍するのがtRNA (トランスファーRNA) です。「運搬RNA」とも呼ばれ、その名の通りアミノ酸を運ぶ役割を担います。

tRNAは、mRNAに書かれた3つの塩基の並びである遺伝暗号 (コドン) を読み取り、その指示に合った特定のアミノ酸をリボソームへと運んできます。

運ばれてきたアミノ酸は、設計図の順番通りに次々と連結されていきます。そして、長く繋がったアミノ酸の鎖 (ポリペプチド) が、正しい立体構造に折りたたまれる (フォールディング) ことで、機能を持つタンパク質が完成します。この立体構造こそが、タンパク質の機能の鍵を握っています。

3. 完成したタンパク質の多彩な役割

こうして作られたタンパク質は、私たちの体の中で様々な役割を果たします。

  • 構造タンパク質: コラーゲンのように、皮膚や腱などの組織の構造を作ります。
  • 酵素タンパク質: 消化酵素のように、体内の化学反応を促進(触媒)します。
  • 輸送タンパク質: ヘモグロビンのように、全身に酸素を運びます。
  • 貯蔵タンパク質: フェリチンのように、体内に鉄を貯蔵します。
  • 調節タンパク質: インスリンなどのホルモンのように、体の機能を調節します。
  • 防御タンパク質: 抗体 (免疫グロブリン) のように、ウイルスや細菌などの異物から体を守ります。

まとめ

タンパク質合成は、核の中で行われる『転写』と、細胞質のリボソームで行われる『翻訳』という2つの大きな流れで成り立っています。

貴重な設計図の原本 (DNA) は大切に保管しつつ、そのコピー (mRNA) を使って効率的に製品 (タンパク質) を作る、という非常に合理的で精巧なシステムが、ヒトの体の中では絶えず働いているのです。

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