こんにちは。
ゴローです。
ちょいと時間が出来たので、メルマガ読者さんからの質問に答えようと思います。
今回は、
「血中コレステロール値が高いとなぜ動脈硬化や梗塞(脳梗塞・心筋梗塞)を引き起こすのか?」
そのメカニズムを教えてほしいという質問を
メルマガ読者さんから頂いたので、
紙芝居風の絵でざっくりと説明しようと思います。
(多分3分くらいで読めると思います。)
動脈は内膜、中膜、外膜と3層からなり、
内膜は内皮細胞という細胞に覆われています。
そして、
この内皮細胞が血液が固まるのを防いだり、
異物が血管にくっつかないようにしてくれているのです。
ところが、
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの病気で、
血管に負担がかかると内皮細胞が傷害され、
悪玉コレステロール(LDL)が内膜の中に侵入してきます。
さらに白血球の一種である単球も内膜に侵入します。
単球はマクロファージに変化しコレステロールを食べていきます。
しかし、
血液中のコレステロールが多くなりすぎると、
マクロファージの処理が追いつきません。
コレステロールを食べ過ぎたマクロファージは、
その場で死んでしまいます。
その結果、
コレステロールとマクロファージの死骸が
内膜の中にどんどん蓄積されていきます。
この蓄積物は、お粥のように柔らかい状態なので、
「粥腫(=アテローム)」と呼ばれます。
この粥腫がどんどん蓄積されると、
血管の壁が分厚くなり弾力性を失います(動脈硬化)。
ちなみに、この粥腫が蓄積されて起こる動脈硬化を
粥状動脈硬化(=アテローム性動脈硬化)と呼びます。
さらにこの血管に負荷がかかり続けると、
血管内皮が傷ついてしまいます。
そして血管内皮の傷を修復するために
その場に血小板が集まってきます。
血小板は例えると
くっつき虫のようなもので、
傷ついた血管内皮にペタペタとくっついていきます。
(1次止血=血小板血栓)
さらに凝固因子が働き、
血液中のフィブリノゲンがフィブリンに変化し、
血小板や血球を覆い固めて傷口を塞ぎます。(2次止血=フィブリン血栓)
(フィブリンは例えるとボンドのようなもの。)
( ちなみに、フィブリンを溶かすのはプラスミンです。これも試験によく出ます。)
この血小板とフィブリンで出来た血の塊を
「血栓」といいます。
血栓は血管内に出来た
「かさぶた」のようなもの。
血栓が出来ると
さらに血管の中が狭くなり、
最悪血管が塞がれてしまいます。
血栓により血管が塞がれてしまうと
その先にある細胞に酸素や栄養を運べなくなるので、
その先の細胞は壊死してしまいます。
この血管の塞がりが冠動脈で起こると心筋梗塞、
脳の血管で起こると脳梗塞を引き起こすことになります。
また、
かさぶたが剥がれるように、
血栓も剥がれ血流にのって、
別の場所の血管を塞ぐことがあります(塞栓)。
これを血栓塞栓症とよびます。
エコノミークラス症候群として知られる「肺塞栓症」は、飛行機や新幹線など、長時間座っていたことによってできた足の血栓が、肺の動脈まで移動して血管を塞いでしまうことから発症します。
これも試験によく出ますよね。
ざっくりとですが、
以上が「コレステロール値が高いとなぜ動脈硬化や梗塞を引き起こすのか」の説明でした。
この流れがしっかりと頭に入っていれば、色々な問題に対応出来ると思いますよ。
最後に確認として
1問だけ問いてみてください。
【問題】血液の凝固・線溶系について正しいのはどれか。
1.トロンビンは血栓を溶解する。
2.フィブリンは一次血栓を形成する。
3.プラスミンはフィブリノゲンから作られる。
4.損傷を受けた血管内皮に血小板が付着する。
シンキングタイム。
考えてみてください。
はい、答えは4です。
解けなかった人は、もう一度この記事を読んでみてください。
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