こんにちは。
ゴローです。
血管の内側をおおう薄い膜。
皮膚の表面を何層にも守る細胞。
気管の内腔でほこりを運び出す線毛。
これらに共通するのは、すべて上皮組織だということ。
でも、同じ上皮組織なのに、場所によって形も厚さもまったく違います。
この違いを整理するには、「配列」と「形状」という2つの軸を押さえる必要があります。
目次
上皮組織は「配列」と「形状」で名前が決まる
上皮組織の名前は、2つの要素の組み合わせです。
1つ目は配列。
- 単層上皮:細胞が1層だけ → 薄い → 物質の移動に向く
- 重層上皮:細胞が2層以上に重なる → 厚い → 保護に向く
2つ目は形状。
- 扁平上皮:平べったい細胞
- 立方上皮:サイコロのような細胞
- 円柱上皮:縦長の細胞
この2つを掛け合わせて名前がつきます。
平べったい細胞が1層なら単層扁平上皮。
サイコロ型が1層なら単層立方上皮。
平べったい細胞が何層にも重なれば重層扁平上皮。
基本イメージはシンプルです。
- 薄い上皮 → 物質を通しやすい
- 厚い上皮 → 刺激から守りやすい
- 背の高い上皮 → 吸収・分泌に関わりやすい
主な上皮組織の種類と代表的な分布
単層扁平上皮|物質交換の場にある薄い上皮
もっとも薄い上皮。物質をすばやく移動させる場所に向いています。
- 血管内皮・リンパ管内皮:水や小分子の物質移動に関わる
- 肺胞:O₂とCO₂のガス交換を行う
- 中皮(胸膜・心膜・腹膜):漿液を分泌して臓器表面の摩擦を軽減する
血管の内側をおおう上皮は内皮、体腔の表面をおおう上皮は中皮。
この呼び分けも押さえておいてください。
重層扁平上皮|摩擦から守る厚い上皮
細胞が何層にも重なり、保護に特化した上皮。
- 皮膚:硬い角質層をもつ角化重層扁平上皮。外界から体を守るバリア
- 口腔・食道・膣:湿った粘膜の非角化重層扁平上皮
皮膚=角化、口腔・食道・膣=非角化と整理しておきましょう。
単層立方上皮|再吸収と分泌を行う上皮
ある程度の厚みがあり、細胞が積極的に物質をやり取りする場所に向いています。
- 腎尿細管:原尿から必要な物質を再吸収し、不要な物質を分泌する
- 甲状腺濾胞:サイログロブリンを分泌し、甲状腺ホルモンを産生する
単層円柱上皮|吸収と分泌に関わる背の高い上皮
縦長の細胞が1層に並ぶ上皮。消化管などで吸収・分泌を担います。
代表例は胃・小腸・大腸・胆嚢・子宮内膜。
小腸では、細胞表面の微絨毛が表面積を広げ、栄養素の吸収効率を高めています。
多列線毛上皮|異物を運び出す上皮
一見すると重層に見えますが、すべての細胞が基底膜に接しているため単層上皮の一種。
細胞の高さが異なり、核の位置がばらばらに見えるため「多列」と呼ばれます。
代表例は気管・気管支。
杯細胞が粘液を分泌し、線毛がその粘液をのどの方向へ運んで異物を排出します。
移行上皮|伸び縮みに対応する上皮
腎杯・腎盂・尿管・膀胱など尿路に特有の上皮。
最大の特徴は伸展に対応できること。
膀胱が縮んでいるときは細胞が丸く層も厚く見え、伸びると細胞が平たくなり層が薄く見えます。
尿が組織にしみ込まないようにするバリア機能も担っています。
微絨毛と線毛の違い
上皮組織を学ぶときに混同しやすいのが、微絨毛と線毛です。
| 微絨毛 | 線毛 | |
|---|---|---|
| 役割 | 吸収・分泌の効率を上げる | 表面のものを一定方向へ運ぶ |
| 内部構造 | アクチンフィラメント | 微小管 |
| 代表例 | 小腸の吸収上皮 | 気管・気管支・卵管 |
微絨毛=面積を広げる、線毛=運ぶと整理すると区別しやすくなります。
試験で押さえるべきポイント
- 上皮組織の名前は「配列」×「形状」で決まる
- 単層扁平上皮の内皮と中皮の呼び分け(血管=内皮、体腔=中皮)
- 重層扁平上皮の角化・非角化の違い(皮膚=角化、口腔・食道・膣=非角化)
- 多列線毛上皮は見た目は多層だが分類上は単層
- 微絨毛=吸収効率を上げる構造、線毛=輸送する構造
まとめ
上皮組織は、一見すると種類が多くて覚えにくく見えます。
でも、「配列」と「形状」という2つの軸さえ押さえればシンプルです。
- 薄い上皮(単層扁平)→ 物質交換の場
- 厚い上皮(重層扁平)→ 保護の場
- 背の高い上皮(立方・円柱)→ 吸収・分泌の場
- 特殊な上皮(多列線毛・移行)→ 異物排出・伸縮対応
この「構造→機能」の視点で整理してみてください。
上皮組織の基本分類は、化生や異形成など病理学の理解にも直結する土台です。
まずはこの分類をしっかり固めておきましょう。











